今回は、ブラインドサッカー(※)の日本代表である加藤健人選手にインタビューをお願いしました。
加藤選手は、人材育成センターが実施した新入社員事務職初級研修のチーム間コミュニケーションの授業でブラインドサッカー体験の講師を務めていただきました。研修では、アイマスクで視覚を遮断された状況において、いかに相手に情報を伝えるか、言語コミュニケーションの大切さを指導して下さいました。

※ブラインドサッカーとは?

1チーム5人で視覚障がい者と健常者が協力してプレーを楽しむスポーツ。略してブラサカ。ゴールキーパー以外はアイマスクをt着用した選手が『シャカシャカ』という音がでる鈴の入ったボールを追いかける。「音」をたよりに「声」を掛け合う、コミュニケーションが重要な競技。

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ダイバーシティ推進チーム

加藤さんの現在の仕事についてお聞かせください。

加藤選手

2010年、アクサ生命保険㈱にダイバーシティ担当として入社し、従業員に対する障がい者理解の啓発活動やマッサージ室の立ち上げに携わりました。また、日本ブラインドサッカー協会と連携し、ブラインドサッカーの普及活動も行っています。
現在は、広報部に所属し、各種講演や子ども向けブラインドサッカー教室の開催等を通じて『スポ育』(体験型ダイバーシティ教育プログラム)活動を推進しています。活動では、障がい者への理解促進はもちろんのこと、障がいという枠にとらわれずに、人と人とのコミュニケーションの重要性やチームワークの大切さ、その前提として個性を尊重することの意味を伝えています。

ダイバーシティ推進チーム

お仕事で工夫されている事があれば教えてください。

加藤選手

前職では、短大時代に取得した鍼灸師の資格を活かし、ヘルスキーパー(企業内理療師)として企業内マッサージルームに勤務していました。その時は、マッサージを施すことに追われる毎日でしたが、現在のアクサ生命ではマッサージルームの立ち上げから携わらせてもらい、運営が軌道にのってからも上司や同僚と稼働率を上げるための目標を設定したり、業務の改善点をあげたり様々な取り組みを行って、チーム全体のモチベーションを向上させています。
チームメンバーには視覚の他にも障がいをもった従業員が多数在籍しており、印刷業務やお客様への請求書の発送業務などを担当しています。担当業務は異なりますが、彼らと積極的にコミュニケーションをとり情報交換をするように心がけています。

ダイバーシティ推進チーム

お仕事上、相手とコミュニケーションをとるうえで気を付けている事や会社に配慮を求めている事はありますか?

加藤選手
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自分ができる事とできない事を明確に相手に伝えるようにしています。同じ視覚障がいであっても、視野が狭い方や私のように光だけが判別できるなど障がいの度合いは人それぞれ全く違います。一人ひとりの違いを理解しうまく活かすのは会社次第だと思います。
障がい者雇用率の問題もあり、私達は自分が本当に会社に必要とされているのか、また、社会にとって必要な人間なのかと不安に思うことが多々あります。本人と会社と職場で綿密なコミュニケーションをとってフォローをして欲しいと思います。
ダイバーシティ推進チーム

仕事と選手生活との両立や家事・育児の分担はどうされているのですか?

加藤選手

まだ子どもが1歳と小さいため、仕事や練習のない日は極力家で過ごすように心がけ、自分も育児に参加するようにしています。育児は新鮮でとても楽しいです。目が見えないので、汚れを拭いたりなどできない事もありますが、おむつ交換やお風呂など何でもトライして、たいていの育児を一緒にやっています。
そして、家では何でも話すようにしています。家庭生活に限ったことではありませんが、思ったことは何でも言わないとまず伝わらないです。とくに私は人の顔色をうかがうことが難しい。そうすると必然的に話しをするようになっています。

ダイバーシティ推進チーム

加藤さんはブラインドサッカーチームで指導的な立場にありますが、チーム運営で心がけていることはありますか?

加藤選手

監督とともにチーム全体の方針やチームメンバーの役割を考える立場にあります。プロのチームではないため、仕事や学業と両立している人や趣味としてやっている人などメンバーの立場やサッカーに対する思いも様々でチームをまとめるのに大変苦労していますが、みんなが目指す方向性は同じにしたいと考えています。
また、リーグ戦や全国大会等出場する大会のレベルによってメンバー編成をかえ、チーム全員がブラインドサッカーを楽しむ環境を整えるようにしています。メンバーには、競技を強制するのではなく、自分がブラインサッカーによって人生が大きく変わったように、みんなにも何かのきっかけにして欲しいというのが私の思いです。

ダイバーシティ推進チーム

現在は視覚障がいを加藤さんの個性、強みとしてご活躍をされていますが、そこに至るまでには相当なご苦労があったと思います。

加藤選手

病で視力を失った際には、絶望し全く受け入れられずひきこもりの毎日でした。それを変えてくれたのはブラインドサッカーと引き合わせてくれた両親で、今でも本当に感謝しています。
他人と自分とを比べても意味がありません。よく言う言葉ではありますが「ピンチをチャンスに」です。つらいこと、大変なことはあったけれど、今の自分があるのは周りの人々のおかげです。周りの人に感謝してこれからもいろんな事に挑戦していきたいと思っています。

ダイバーシティ推進チーム

今後の夢や目標について教えて下さい。

加藤選手
私の将来の夢はサッカー選手でしたが、今はJリーガーと一緒に仕事をすることもあるので夢以上のことが現実となっています。また、盲学校などでサッカー教室を開催しているので、子ども達から目標にされるような選手になりたいです。
そして、すでに日本の出場が決定している東京パラリンピック大会での活躍です。今までお世話になってきた方々への恩返しも含めて、選手として大会に出場し結果で応えたいと思っています。さらには、オリンピック・パラリンピックで高まっている関心や皆さまからいただいているサポートが大会後も継続するように、その先も見据えながらブラインドサッカーの認知を広げていきたいです。
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ダイバーシティ推進チーム

当社社員にメッセージをお願いいたします。

加藤選手

私は、東京パラリンピックに向けて、ブラインドサッカーを生活の中心にしたいと思い、自分の働き方を上司に相談し、トレーニングや練習の時間に充てることができるようになりました。
ただ、自分のように障がい者の方から会社に意見や相談をするのは、難しいことだと思います。日頃から上司や同僚の方々には積極的に声を掛けていただいて、話しやすく、風通しの良い職場環境をつくっていただけると同じ障がいをもつ立場の人間としてはありがたいと思います。

さいごに

加藤さんにお話を伺って、何事においても前向きでポジティブな姿勢はスポーツマンのなせる技なのか、仕事・プライベートともに学ぶべきところが多くありました。なかでも、障がい者の視点から鞄や時計など様々なブランドとコラボして共同開発に携わる加藤さんですが、障がい者が使いやすい=誰もが使いやすいものとして、人気があるそうです。これは職場にも言えることで、障がいのある方が少しでも働きやすい職場になるよう周囲の心がけが必要だと感じました。
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◇◆加藤健人選手◆◇

アクサ生命保険株式会社/埼玉T.Wings所属
小学校3年生からサッカーをはじめる。高校生の時にレーベル病を発症し視覚を失うが、失意の中出会ったブラインドサッカーが加藤選手の人生を大きく変えることになる。短大で鍼灸師の資格を取得し、ブラインドサッカーチームに所属。現在は日本を代表する選手として活躍を続けている。
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インタビュー日 2019年4月15日(月)
インタビュー対象者 加藤健人選手
インタビュアー 人材育成センター 副長 兼労務人事部 ダイバーシティ推進チームメンバー 小貫 美由紀

今後も、様々な方にインタビューを行って掲載していきますので、
お楽しみください。